うんこ11
若草色に光る春と
若い女を待つ僕の緑色の煙草は残り数本
これが空になればきっとすぐに夏が来る
最近よく思い出に泣く
学生の頃 当時付き合ってた女の子と夏の海に行った
僕はポケットに手を突っ込みっぱなしの男だったから その子と気の利いたデートなんかあんまり行かなかったけど 初めてちょっとだけ遠出して好きな人と海に行った 空が高くて 半袖半ズボンでカブトムシを捕まえにいく少年のような太陽が心地よかったすごく 日々の絶望なんか似合うわけがない 無人駅のホームで待ち合わせをして 僕は先に着いてラッキーストライクを吸ってた 彼女が隣に座っても 照れくさくって「なんかごめん」と「眠たいな」で会話の間を繋いでた 列車は焦らしながら夏の風を連れてやってくる 冷房の効いた車内 後のことはぜんぶ忘れたけど 春に気づいて夏を思い出して 海へ向かう電車に僕らを探してる